2009-05-27 [Wed]
何一つ持たずに生きて
何一つ持たずに死んで逝く者と
両手一杯の愛を抱えて
両手さえも失くして逝く者
一体どちらの方が、
大きな絶望を知るのだろうか。
あなたが身勝手に心を与えなければ
何一つ失わずにいられた。
何処にもいかない、だなんて
うそつき。
(与えて、与えて、与えて…求めてもいない心を押し付けて
失って、失って、失って…ついに自分さえ失くしたの?)
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2009-05-26 [Tue]
たとえば、
困難な問題を片づけることや
複雑な料理をすることは
驚くほど上手なくせに
駄々をこねることや
欲しいものを欲しいということが
君は酷く下手で
誰もが当たり前と感じることが
当たり前に受け取れなくて
全部、自分で何とかしちゃう君は
とても器用で不器用なんだろう
だけど、
君のことが大切な俺としては
ちょっとくらい欲しがってほしいし
ちょっとじゃなく貰って欲しい
砂糖菓子みたいに甘いものも
ブランケットみたいに柔らかいものも
陽だまりみたいにあったかいものも
幸せと感じるものすべて
こんな風に言えば君は、
慣れないことに戸惑って俯いてしまうね
だけど、それから本当に小さな声で
気をつけないと聞き逃しちゃうような声で
俺に「ありがとう」って言うんだ。
(そんなところとか、本当に可愛いなぁって思う。)
2009-05-26 [Tue]
たった三つの音の羅列に特別な意味なんてないと
そう思っていた。
それは単なる識別記号でしかなく
それ以上でも以下でもないと。
それなのに
アンタが何度も何度も繰り返し呼んだから
それは本当のそれよりも
この身体に馴染んでしまった。
他の誰よりも優しい声で
他の誰にもない意味をこめて
アンタは俺を呼んだんだ。
この名前に意味を与えたアンタが
もう、ここにはいなくても
その声は今も未だ
変わることなく響いている。
だから、目を閉じてはアンタを思って
アンタの居ない現実に失望するんだ。
(本物の声のように、この声も消えていけばいいのに…)
2009-05-19 [Tue]
本当に泣きたくなるのは
身を裂くような悲劇にも泣けない自分の冷酷さに気付いたとき。
本当に笑えるのは
その奇特な感情さえも偽りだと気付いたとき。
涙が出るのは身勝手な理由で、
居心地が悪いのはきっと爪先まで染まった黒さのせいだ。
まるで、鳩の群集に紛れた人鳥のように、
1人飛び立てない侘しさに泣いているのだ。
身を裂くような悲劇にも泣けない自分の冷酷さに気付いたとき。
本当に笑えるのは
その奇特な感情さえも偽りだと気付いたとき。
涙が出るのは身勝手な理由で、
居心地が悪いのはきっと爪先まで染まった黒さのせいだ。
まるで、鳩の群集に紛れた人鳥のように、
1人飛び立てない侘しさに泣いているのだ。
(本当は何とも思ってないくせに。装うことばかり上手になって。)
2009-05-18 [Mon]
大切なものは
それが「失くせない」と気付いた瞬間に、いつも
この指の隙間を滑り落ちてゆく。
大切な人は
それが「愛しい」と知った瞬間に、いつも
この腕を合間を擦り抜けてゆく。
この世界の法則に従って消えていったものは
二度とこの手には戻らない。
唇を離れた声が、虚空へと溶けるように
何もない何処かへと還ってゆく。
(厭だ、と幾ら駄々を捏ねても。その手に触れる日はもう来ない。)