反芻サイクル

好きなメロディーを何度も辿るように
撮りためたビデオを消化するように

美しいセンテンスを
愛おしい言葉を
何度も何度も読み返しては
束の間の安定を取り戻す

Everything is constantly changing.（生々流転)

此の場所が居場所だと思っている
本当　信じ込んでいる

誰も居なくたっていい
何も無くたっていい

血の繋がるモノも
日常を共有するモノも

別に要らないよ

必要なのは
恨めしく嫌悪するこの身体一つ


根無し草　風に泳ぐ
何処にも行かない　何処にも行けない
此処以外を知らないから

空蝉の様　影に溶ける
誰も知らない　誰も見えない
己さえ繋げていないから

「孤独」は毒か　はたまた夢か
真実の偽りに　緩く喚く


此の魂の啼く場所
其処がいつだって俺の居場所

此の心が漂う場所
其の全てが生きていた場所


此処で沈む　此処で揺れる
矛盾と背中合わせ
呑まれながら喰らう

流転間奏

めまぐるしく景色は変わる
誰かに見せてあげたいと思うけど
俺はいつだって
シャッターを切り損ねる

音楽は難しい
伝えたいメロディを口ずさむけど
俺はいつだって
バカみたいな音程を刻んでしまう

一瞬は現実で幻想だ
本当にそこにあったのかさえ不確かで

単音は単純で複雑だ
枠に収まる音なんていつになっても探せない

NO TITLE

足元に貼りついて剥がれない黒い影に
「証明」と名付けたら独りじゃなくなった

息が切れて脈打つ鼓動を
「存在」と呼んだら泣きたくなった

痩せ我慢の孤独に憧れても
生き急ぐことをやめられなても
こんなにも俺は生きている

どうしようもないくらい
闇雲に生きている

息だけでは生きると呼べない

明日世界が終わったって
多分後悔はしないのだけど
明日君がいなかったら
それはきっと哀しいのだろう

一瞬で消える包括的な別れなどに興味はないけれど
少しずつ削られていくサヨナラには堪え難い

君を忘れて尚息をするその憤懣なイキモノを
強いと知れども俺は
讃えることなど出来はしないから